13.ペンチ
 
 
〔用途〕
◆ペンチは銅線や針金を切る・曲げる・挟む・引っ張る・ねじるなど多くの作業ができるため電気関係や針金細工、または板金細工等に使う大変便利な工具です。
 
〔特徴〕
◆ペンチの先の方は物をつかむ役目をする所で、くわえ部と呼びます。このくわえ部は物をつかんだ時、滑らないように凸凹のスジが切ってあります。
 
◆刃は強力で鋼線はもちろん、太い鉄線も切ることができます。刃部の裏側は丸い物がつかみやすいように丸くえぐってあり、ナット回しもでき、また、料理ではギンナンを割るのに非常に便利なため、この部分をギンナンと呼んでいます。
 
◆ペンチは電気関係の作業に多く使用しますので、柄の部分にビニールカバーを付けたものもあります。
 
〔種類〕
◆ペンチはJISで普通級と強力級に分けられていて、普通級はN、強力級はHという記号で表示しています。
 
◆ペンチには次のように5種類の寸法があります。
呼び寸法(全体の長さ)
 125m/m 150m/m 175m/m
 200m/m 250m/m
 
〔使われている材料〕
◆ペンチに使われている材料は、JIS規格によると炭素工具鋼SK7、または機械構造用炭素鋼S55C、或いはそれ以上の品質のものが使用されています。
当然、熱処理(焼入れ・焼戻し)がされていて、刃部の硬さはロックウェルCスケールで56〜64になっています。
 なお、JISでは、切れ味試験、変形試験、衝撃試験などについて厳しい規定があり、これらの規定に全部合格しなげれぱならないことになっています。
 
●選ぶ時の注意
JISマークの入ったペンチは、前に述べたように、切れ味や、ある力を加えた時のひずみ、変形などの検査をしてありますから安心ですが、不良品の場合は、針金を切ると、てきめんに破損しますので、一般の工具と同様にJISマークの入ったものを信用あるお店でお求め下さい。
 その他、プライヤと同しように、ナットレンチとして使えるものもあります。
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〔使い方〕
◆ペンチを使う時は、一方の柄に親指をかけ、人さし指と中指を柄の内側にかけて、薬指と小指は柄の間に入れて使います。
こうすれば開閉が片手で自由になり、作業が楽にできます。なるべく柄の先の方を持った方が、強い力が出ます。
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◆針金などを切る時は、相当大きな力を加えても耐えられるようになっていますから、強く押さえることはよいのですが、
こじることは壊れるもとになりますから、こじらないようにして下さい。ペンチでワイヤを切りますと、その切り口は平らにならず、山形になります。
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 また、平らな面から飛び出している針金を、平らな面に合わせようとしてペンチで切っても、平らにはなりません。これはペンチでの刃が少し引き込んだ造りになっているからで、このような時にはニッパを使って下さい。
 
警告
1. ビニールカバーは絶縁物体ではありません。
活線(通電している線)の切断、またはこ使用は絶対しないで下さい。感電する恐れがあります。
2. 鉄線・銅線・その他を切る時は、その周囲に飛び散る恐れがありますので、危険防止のために保護めがねを着用して下さい。
 
注意
1. 使用工具はその作業に適しているものか確認して下さい。
2. 用途以外の作業(ハンマの代わりに使って打つ・叩く)や能力以上の使用は避けて下さい。